契約社員を正社員にしてもらえるキャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給条件と概要

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契約社員を正社員にしてもらえるキャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給条件と概要

公開:2019-08-22 更新:2020-01-27

 
キャリアアップ助成金は認知度が高い助成金の1つです。
その中でも正社員化コースはとてもポピュラーです。

「知ってはいるけど申請が難しいんじゃないか?」と思われている経営者の方も多いのではないでしょうか。

有期雇用を正規雇用に転換した場合は57万円の助成金が支給されます。
正社員登用を積極的に考えている企業ならば使わない手はありません。

ここではキャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給要件や概要などを分かりやすく解説します。

社労士・岩壁
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契約社員やアルバイトをたくさん雇用していて、
正社員登用を積極的に行おうと思う企業にとっては
とても有意義に活用できる助成金です。

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1.キャリアアップ助成金の全体概要

厚生労働省が実施する助成金の中で、非正規社員の待遇改善に対して助成されるのがキャリアアップ助成金です。

キャリアアップ助成金には次の7つのコースがあり、待遇改善の様態によって助成金が異なります。

キャリアアップ助成金のコース

①正社員化コース
②賃金規定等改定コース
③健康診断制度コース
④賃金規定等共通化コース
⑤諸手当制度共通化コース
⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
⑦短時間労働者労働時間延長コース

この記事では有期契約社員等を正規雇用した場合に受給できる正社員化コースについて解説します。

2.正社員化コース

2-1.概要

正社員化コースは契約社員を多く抱えている企業や、これから正社員登用を積極していこうと思う企業にとっては比較的受給しやすいと言えます。

有期雇用労働者や無期雇用だけど正規雇用でない労働者を正規雇用等に転換した場合に受給が可能です。

注意

無期雇用はあくまでも契約期間が定められていないという意味であり、無期雇用=正規雇用というわけではありません。(例えばアルバイトであっても雇用期間を定めていなければ正規雇用ではない無期雇用となります)

2-2.対象者

正社員化コースの対象になる労働者とは次のような方です。

・有期契約で通算6ヵ月以上雇用されていて、かつ3年以下であること
・無期契約で6ヵ月以上雇用されていること
・正規雇用を前提として雇用されていないこと
・過去3年以内に事業主の関連会社等の社員、役員でなかったこと
・事業主や取締役の3親等以内の親族ではないこと
など。(要件が細かいため主たる部分のみ抜粋)

また正社員の求人に応募して契約社員として雇用されたような人は、助成金の対象者にはなりません。
(契約社員としての求人に応募して採用された人でなければいけません)

社労士・岩壁
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要するに、不正行為につながる可能性のある人は対象にはなりません。

2-3.助成金額

① 有期雇用を正規雇用に転換した場合
1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)

② 有期雇用を無期雇用に転換した場合
1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)

③ 無期雇用を正規雇用に転換した場合
1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)

<>内は生産性が向上した場合、()内は中小企業以外の場合
また1年度あたり最大20名までです。

正規雇用にあたっては地域限定や短時間正社員なども正規雇用の対象となります。
また母子家庭・父子家庭の母や父を正規雇用にした場合や派遣社員を正規雇用にした場合などには加算があります。
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3.手続きの流れ

正社員化コースの申請流れ

3-1.キャリアアップ計画書作成・提出

まずはキャリアアップ計画書を提出して労働局長に認定してもらう必要があります。
キャリアアップ計画書は契約社員などのキャリアアップに向けた取り組みをどのように進めるのか、企業側がその対象者や目標などをどのように達成していくのかを記載するものです。

計画書自体は当初の予定で記載し、事後的に変更を届け出ることも可能です。
キャリアアップには次の内容を記載します。

①キャリアアップ管理者と業務内容

「キャリアアップに取り組む者として必要な知識および経験を有していると認められる者」を言いますが、通常であれば代表者や人事責任者がなることが多いです。

キャリアアップ管理者は複数の事業所のキャリアアップ管理者を兼任することはできず、事業主であっても一つの事業所のみでしか管理者になれません。

業務内容はキャリアアップ実現のための面談やアドバイスなどの取り組みを記載しましょう。

②計画期間

3~5年の期間で定めます。
5年を超えて計画期間を定める場合は新規で提出する必要があります。

③講じる措置の項目

キャリアアップ助成金の中で希望するコースを選びます。

④対象者

どのような労働者を対象とするのかを記載します。

・入社1年以上の契約社員、など
(就業規則の転換規定と整合性を取ってください)

⑤目標

おおよそどれくらい正社員への転換をするか、などを記載します。

・計画期間内に対象者のうち3名を正規雇用に転換する、など

⑥目標達成のために講じる措置

具体的にどのような措置をとって正規雇用等へ転換するのかを記載します。

・対象者に対し正規雇用へ転換するための面接と筆記試験を実施する、など

⑦計画全体の流れ

キャリアアップ計画提出後の流れを記載します。

・就業規則の整備を行い正規雇用への転換制度を設け周知を行う
・対象となる労働者から正規雇用転換希望者を募集する
・就業規則に沿った転換を実施する
など

3-2.都道府県労働局長の認定

管轄部署へ提出してください。
都道府県によっては窓口の統一がされていることがありますが、都内の場合はハローワークへの提出でも可能です。

参考:雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧

3-3.就業規則の作成・改定

①10人以上の事業場

就業規則の作成・届出が義務なので既に作成済の規定を見直します。
正規雇用への転換制度がない場合は、これを整備する必要があります。

・対象者(キャリアアップ計画書と矛盾しないようご注意ください)
・転換日(毎年●月●日付、など)
・手続き(面接や試験などの実施)
など、どのように転換を行うかを規定します。

②10人未満の事業場

就業規則の作成義務がありませんので、この助成金申請を契機に作成をしなければなりません。
(労働基準法上の作成義務がないとしても、助成金申請には就業規則が必要です)

作成後、助成金申請にあたっては労働者代表の署名捺印による申立書が必要になりますが、就業規則を労働基準監督署へ届け出ていればその控えでも代用が可能です。
就業規則以外のものでもこれに準じる方法で規定することは可能ですが労働者に周知されている必要があります。

3-4.正規雇用等への転換

3-3で整備した就業規則のルールに沿って転換を実施してください。
この際に就業規則と異なるルールで行うと不支給の原因になりますのでご注意ください。

3-5にも関係しますが、転換後は賃金が5%以上上昇していることが助成金受給の要件となります。

この5%には次のような実費弁済的な賃金や月により変動する手当などは含みません。
・残業手当(固定残業代含む)
・通勤手当
・皆勤手当
・歩合給、など。

また5%UPしていても、定額の諸手当が減額されていたり、その他処遇の低下がみられる場合は支給されない可能性があります。

賞与による賃金UP

賞与を含めて5%UPをクリアすることも可能です。この場合は、正社員と契約社員の処遇の違いについてきちんと就業規則や賃金規定で明記する必要があります。
例えば支給時期(最低限支給月まで)を規定しなければなりません。「夏期及び冬期」「上期及び下期年」「年●回」といった記載だけでは不十分です。
在籍要件や評価期間なども含めて対象者を明確にします。そして、基本的には「支給する」という前提のルールです。「支給することがある」という決め方は支給が前提となってはいないので認められません。
・正規雇用と非正規雇用でどう待遇が変わったのか
・正規雇用で確実に賃金アップしたと言えるのか
が明確になっていることが重要です。

(注)賞与の規定はあくまでキャリアアップ助成金の対象にならないという話であり、就業規則そのものが無効になるということではありません。

3-5.転換後6ヵ月の賃金支払い

転換後の新賃金を6ヵ月支払う必要があります。

もし賃金締日の途中で正規雇用等への転換をした場合は、転換前と後の賃金が混ざった支給月が発生します。
このような場合は転換後の賃金のみで計算された月から6ヵ月です。

3-6.支給申請

転換後6ヵ月の賃金支払い日の翌日から2ヵ月以内が支給申請期間です。
遅れると支給されませんので忘れず申請を行いましょう。

申請後、審査が通れば支給決定です。

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これらの流れから分かるように受給には時間がかかりますので、
あくまでも労働条件を向上した企業に対するボーナス的位置づけです。
当然ですが助成金欲しさに不正は絶対行わないでください。

4.まとめ

・非正規雇用や有形契約労働者を正規雇用や無期雇用に転換した場合に受給できる
・正規雇用転換後は賃金が5%以上向上している必要がある
・長期計画で実施していくため助成金自体はすぐに入るわけではない

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